長命草

 琉球野菜

 和名はボタンボウフウ。沖縄本島では「サクナ」、与那国島では「グンナ」、波照間島では「マンズ」、竹富島では「シュナイ」と、島によって呼び名が変わります。
 那覇の市場では、野菜として売られていますが、与那国では海岸に、波照間では道端にたくさん生えていて、わざわざ栽培しなくても、好きなだけ採取して利用できる野草です。
 特に与那国島には多く自生しています。島の南の、海底遺跡があるということで有名になった辺りの崖には、びっしり生えていました。

 古くより万病に効く薬草として知られ、喘息・肝臓病・腎臓病・高血圧・動脈硬化・リウマチ・神経痛に効くとされています。
 独特の良い香りがあり、毒消し効果がありますので、千切りにして刺身のつまに利用されます。
 レバーと一緒に煎じた汁は、滋養強壮の特効薬(チムグァーシンジ)。
 その他、ゆがいて和え物にしたりするそうです。(もやし・青パパイヤ・ニラのどれかと組み合わせて、ゴマ・ニンニク・味噌で和えるそうです。)

 八重山諸島では、御嶽(神社のような所)での神様への捧げ物には、長命草を使った料理は欠かせないということです。つまり、神聖・重要な植物だということです。
 栄養学的にみると、カロチン・ビタミンC・ビタミンEを多く含みます。 どれも抗酸化作用があるものばかりで、活性酸素を消す効果があります。 体の酸化を防いでくれる訳ですから、「長命草」の名は伊達じゃありません。
 薬草茶として乾燥品も売っていますので、沖縄へ行ったら、是非買ってみて下さい。

 沖縄では、長命草「ボタンボウフウ」を利用しているのですが、本土でも似た物を刺身のつまに利用しています。「ハマボウフウ」というものです。砂地で軟白栽培して利用します。長命草の近縁種ですので、似たような効果が期待できます。
 しかし、沖縄の長命草と違って高級食材ですので、あまり一般的ではないですね…。

   (野菜果物大百科第14号より)

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