日野菜

 滋賀県伝統野菜

 日野菜は、滋賀県日野町に伝わる伝統野菜です。 カブラの仲間ですが、丸くなく、細い大根のような円筒形の形をしています。根の地表部は紫紅色で、地下部は白色という綺麗な野菜です。
 室町時代のこと、領主の蒲生貞秀という人が、鎌掛という所の観音堂に参拝された時に、根が紅白色に分かれた野生菜を発見しました。漬物にしてみると桜の花のような綺麗な色になり、京都の飛鳥井雅親(あすかいまさちか)という公家さんに贈ったところ、その公家さんから、時の後柏原天皇にも献上され、天皇もお喜びに
なられて「近江なるひものの里のさくら漬 これぞ小春のしるしなるらん」という歌がが贈り返されてきました。これ以来、この菜を「日野菜」、この菜の漬物を「さくら漬」と呼ぶようになったといわれています。

 現在では、滋賀県だけでなく、三重県ほか、他の地域でも栽培されるようになってきています。
 なお、「緋の菜」という字を当てることもあるようです。

   (野菜果物大百科第67号より)

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