黒河(くろこ)マナ (福井マナ)
福井県伝統野菜
「マナ」は福井県敦賀市の山(やま)地区に伝わる伝統野菜です。アブラナ科の野菜で、春になって立ってくるトウ(花茎)を摘んで食べます。いつから栽培されているのかは分からなく、来歴は不明です。油を採る「菜種」に近い種類のようです。
山地区は三方を山に囲まれた、中山間地です。10月頃に種を播き、冬の間は雪の下になります。この雪の下になることで、独特の風味が出るのだと云うことです。ですから、雪の少ない暖冬の年は味が良くなく、また、種を別の土地に播いても、同じ味は出ないのだそうです。
さて、冬の間、雪の下になり、春になってトウが立ってくると、収穫です。 つぼみがまだ堅くて茎の柔らかい内に、手で折り取るようにして収穫します。 この時、刃物を使わないのが、昔からの慣わしだそうです。
一度収穫すると、脇芽が出てきますので、二回、三回と収穫でき、三月下旬から四月下旬まで楽しめます。
マナは通常、漬物にして食べます。摘んだマナを塩もみし、四〜五日後に食べるのが最も美味しいそうです。保存したい場合は、塩を多めに入れて重石をして保存し、食べる時は塩抜きをして、煮て食べるのだそうです。
最近は、地域の特産品として漬物を販売していると云うことですので、敦賀へお越しの際には、是非味わってみて下さい。
(野菜果物大百科第64号より。当初「福井マナ」として紹介しましたが、「黒河マナ」の名が正式だそうです。)