キクイモ

 (伝統野菜として扱われることもある野菜)

  キクイモは、北アメリカ東北部が原産の植物です。丈が2mくらいになる大型の植物で、ヒマワリのような黄色い色の花をつけます。食用にするのは、地中にできる塊茎です。菊に似た花が咲き、地中には芋ができるから「菊芋(キクイモ)」というわけです。
 非常に丈夫な植物で、荒地でも繁茂します。その為、栽培は容易です。原産地の北米では、白人が渡来する前から先住民が栽培し、食用としていました。17世紀初めにヨーロッパに伝わり、食用の他、飼料用・果糖やアルコールの原料として世界に広まりました。

 一方、日本には江戸時代の文久年間に伝わりましたが、あまり広まらなかったようです。明治になって再導入され、先の大戦中の食料難の時には見直されて、各地で栽培されましたが、それ以降は、あまり作られていません。 山間部の、他の作物が栽培しにくい所で、ほそぼそと作られてきた程度です。
 しかし、このキクイモが最近、注目されだしています。ダイエット食・糖尿病に良い芋ということでです。
 キクイモには、「イヌリン」という成分が多く含まれています。イヌリンには、血糖値を下げる効果があるのです。 また、食物繊維を豊富に含み、腸内の掃除をしてくれて体調を整え、美容効果もあります。その上、デンプン含有が少なくて、
カロリーは低い。糖尿病の人や、ダイエットには理想的な食品だというのです。

 キクイモは江戸時代にすでに入ってきていますので、その頃から大事に栽培してきたような地域は、伝統野菜として大切にしている場合もあります。特に山間部に多いようですが、岐阜県の揖斐郡辺りも、それに当たるようです。主に漬物に加工して食べます。味噌漬けや醤油漬けは絶品! 美味しいですよ。村の朝市等で販売されていますので、機会がありましたら、是非味わってみて下さい。

 キクイモ、先に記したように、栽培は簡単です。3月終り〜4月に30cm間隔くらいで種芋を植え付けたら、あとは特にすることもありません。芽が出るまでは草取りくらいはしてやっても良いでしょうが、伸び始めたら、草なんかに負けません。肥料も、特には要りません。病害虫の心配もありませんので、消毒も不要。夏になると、見事な黄色い花をつけてくれ、目を楽しませてくれます。そして、11〜12月が収穫期です。スコップで掘ると、芋がたくさん獲れます。
 こう書くと、何の問題もない素晴らしい作物のようです。しかし、一つ難点が…。でかくなり過ぎるのです。 …とにかく伸びます!人の背丈どころではありません。2mくらいは覚悟しないといけません。(場合によっては、もっと伸びるようです。)硬い茎で風が吹いても簡単には折れなく、支柱等は必用ありませんが、収穫した後、その茎が邪魔になる…。 また、場所を考えずに植えると、日陰になって他の作物が育ちません。
 当然ながら、プランター栽培は不可能です。広い場所がないと、栽培は困難なのです。(湿気に強いかどうかは不明。休耕田で栽培すると、どうなるかな…。)

 さて、キクイモの食べ方ですが、通常は味噌漬け・醤油漬け・粕漬けといった漬物にします。一旦、塩で下漬けをしてから、それぞれ好みの物に漬け直します。醤油漬けの場合は、酒と砂糖を加えると良いようです。
 その他、醤油と味醂で甘辛く煮含めたり、味噌煮にしたりしても良いということですし、天ぷらにしても良いそうです。(私はまだ試していません。)

   (野菜果物大百科第88号より)

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