餅菜

 中部地方(岐阜・愛知)の伝統野菜
   

 御正月の雑煮、皆さんの所では、何を入れるでしょう?  
 雑煮というのは、年神様にお供えした御下がりを、合わせて煮たモノです。普通は
色々な具が入りますが、地方によって中身は、だいぶ変わります。餅も、角餅(切り餅)か丸餅かの違いがあります。(関東は角餅、関西は丸餅)中には、餅を入れないという地方もあるようです。(里芋がメインになります。)
 味付けも、味噌か醤油かの違いがあります。
 別の地方からお嫁に来た若奥様が、ご自分の食べなれた雑煮を作ったら、「こんな物は雑煮じゃない!」と怒られたという話をよく聞きます。郷に入れば郷に従え。嫁がれて初めての御正月を迎えられる方は、ご注意を…。

 私の住んでいる岐阜県安八郡(美濃地方西部)では、雑煮の餅は角餅で、カツオだしの醤油味付けです。餅の他の具は、「餅菜」という菜っ葉だけ。非常にシンプルですが、あっさりしていて実に美味しい。私にとって「雑煮」はこれでないといけません。
 もっとも、「御下がりを合わせて煮たモノ」という、本来の意味合いから云うと「雑煮」とは違うのかもしれません。 
実際、私の家では、雑煮とは呼びません。「炊き餅(たきもち)」と呼びます。 (焼餅に対して、炊くから炊き餅です。)
 岐阜県美濃地方西部はじめ、愛知県尾張地方も、同じ「炊き餅」文化圏のようで、「餅菜」しか入れません。

 この「餅菜」は、小松菜に似た菜っ葉です。 小松菜より軟らかく、色は小松菜より少し黄緑っぽい、中部地方在来のツケナです。
 見た感じは小松菜とほとんど同じですし、日保ちが小松菜より悪いため、最近はあまり栽培されません。小松菜にとって替わられてしまっています。 
 市場に出回るのは稀で、農家で自家消費用に少量栽培されている程度です。 小売店で年末に「餅菜」として売っているのは、実際は小松菜であることが多いようです。(とくに大きなスーパーの場合…。)
 私の家でも、自家消費用に少し栽培しています。 見た感じがほとんど同じとはいっても、やはり軟らかさが違い、「炊き餅」には餅菜でないといけません。伊吹おろしと呼ばれる冷たい強風の中、元気に育った餅菜は最高です。

   (野菜果物大百科第10号より)

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