チデークニー(島人参)
琉球野菜
ニンジンというと、何色でしょう? 普通は、赤(朱色)を思い浮かべますね。 京都・大阪近郊の人ですと、紅色の金時ニンジンを思い浮かべるかもしれませんが、どちらにしても赤系統の色です。
しかし、江戸時代中期には、赤の他に、黄・白・紫といった色のニンジンが栽培されていたそうです。その中の黄色種が、今も沖縄に残っています。それが、「チデークニー」です。
チデークニーという呼び名は、沖縄の呼び名ですが、「チ」は黄。「デークニー」は大根で、「黄色い大根」という意味だそうです。沖縄以外では通常は「島ニンジン」と呼んでいます。
ニンジンは、東洋系と西洋系の2つの系統に分けられますが、チデークニーは東洋系のニンジンです。(通常売っているニンジンは、西洋系です。)
今のニンジンは味が薄くて物足りないモノが多いのですが、このチデークニーは香りが強く、本来のニンジンの味がします。ニンジン好きの人にはタマラナイ、ニンジンの中のニンジンです。
沖縄県でも、特に本島中部の中城村で多く栽培されているそうで、あちらでは、正月料理に欠かせない食材だということです。
色が色ですので、調理してあるものを見ると、ニンジンには見えません。ゴボウみたいです。ニンジン嫌いのお子さんに、良いかもしれません。(食べれば、すぐにバレルけど…。)
なお、このニンジンは、沖縄の市場で購入できます。売られているのは冬です。栽培量の少ないニンジンですので、価格は通常種の倍くらいするようですが、一度は味わってみたいモノです。 当方でも毎年栽培しています。(12〜2月)
(野菜果物大百科第13号より)