赤菜

 三重県松阪市伝統野菜 

 三重県松阪市に伝わる伝統野菜です。カブラの仲間ですが、滋賀県の「日野菜」と同じで大根のような形をしています。(太さは日野菜より少し太いです。) 根の色は、その名の通り赤色。但し、色がついているのは皮だけで、中は白色です。葉の軸も赤色をしています。
 今から約400年前、松阪城(当時は「松坂城」)を築いた蒲生氏郷(がもううじさと)という殿様が、近江の国から伝えたとされ、日野菜の原種とされています。時代的には、その頃には既に「日野菜」は存在していたはずですが、その原種とされているということは、本来は赤菜が栽培されていて、「日野菜」はそれが野生化・自然交配してできて、紅白色が綺麗だった為に、先に記した様に発見・栽培されるようになったのではないかと思います。

 伝えられて以降、松阪で大切に栽培され、幕末の国学者 本居宣長(もとおりのりなが)も、食べていたという記録が残っているそうです。 また、明治35年創業の松阪肉専門店「牛銀本店」でも、かつては、この漬物を出していたそうです。しかし、しだいに栽培されなくなり、30年くらい前には途絶えてしまいました。
 ところが、三重県科学技術振興センター農業研究部というところが種を保存していて近年復活し、松阪の特産品として注目されています。
 現在は、松阪に行けば赤菜の漬物が手に入ります。漬物にすると、皮の赤い色素で中まで赤くなり、綺麗な色の漬物になります。

 実は、私は一度、この赤菜を育てたことがあるのです。 数年前、松阪に本社がある種苗会社から種を手に入れ、栽培したのですが、漬物にしたら最高! 忘れられない味でした。でも、その種苗会社でも、現在は種の扱いをしていなく、当時はそんな貴重な物とは知りませんでしたので、種採取もしませんでした。 非常に残念なことをしました。
 しかし、再び種を入手することができ、現在は、大切に種の保存をしています。

   (野菜果物大百科第67号より)
 種の販売をしています。御希望の方は、こちらを御覧ください。

伝統野菜ページ   トップページ