チョロギ

 (伝統野菜として扱われることもある野菜)

 チョロギって聞いたことありますでしょうか? 正月の黒豆の煮物に添えられたりする、赤色の「モスラ」みたいな奇妙な形のモノです。(…普通は巻貝形と言うんでしょうが、私にはどうしてもモスラに見える…)
 赤い色は梅酢漬けになっているからで、本来の色は白色です。

 このチョロギは、中国原産のシソ科の植物です。日本には江戸時代初期に朝鮮経由で伝わったとも、11世紀にはすでに伝わっていたとも云われていて、どちらが正しいのかは不明です。
 名前の由来としては、ミミズを意味する朝鮮語の「チョロンイ」が転化してチョロギと呼ばれるようになったとされ、これに「長老喜」「千代老木」「長老木」「長呂貴」といった目出度い字があてられています。この名前から、縁起の良いモノとされて、正月
の御節料理に使われています。
 しかし、この名前の表記もダテではありませんでした。京都薬科大学の山原教授の研究で、チョロギに脳細胞を活発にする成分が含まれることが分かったのです。
 チョロギから抽出したエキスを与えたマウスは、毒物で脳虚血を起こして瀕死状態になっても、他のマウスの3倍ちかく長生きしたのだそうです。
 まさに長寿をもたらす植物!  脳梗塞・痴呆症に大きな効果が期待できるということで、非常に注目される野菜です。

 チョロギは、栽培自体は難しくありません。3〜4月に種根茎を植え付けて、11月頃に収穫します。
 しかし、収穫したものは軟らかい為に傷つきやすく、変色もしやすい…。また、収量も少なく、小さいモノですので、収穫に手間が掛かります。 味も特になく、とりたてて美味しいといった訳でもありません。こういった理由からか、あまり多くは栽培されてきませんでした。山間部で、自家用程度の栽培がほとんどです。
 私の住む岐阜県では、西美濃地方の池田山や養老山の山麓地域や、東美濃地方の中山間地で、伝統野菜として少量栽培されています。
 また、大分県の豊後竹田地方でも、標高300〜500mくらいの所で栽培されていて、こちらでは、梅酢漬けにした物が特産品として売られているようです。

   (野菜果物大百科第89号より)

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