辛味大根

 京都の伝統野菜

 京都府北区鷹ヶ峰(たかがみね)で、元禄時代から栽培されている大根です。大根とは言っても、形はまるで違います。直径3〜5cmくらいで、まん丸の形。どう見ても小カブにしか見えないのですが、れっきとした大根です。
 水分が非常に少なくて、おろしてもサラサラしています。その為、ソバつゆが薄まらなくて、薬味にピッタリです。味はその名の通り、辛い! しかし、ワサビとは違った独特の味と刺激で、古くから通人に大いにもてはやされたという事です。
 特に、大晦日の京都室町などでは、昔は辛味大根おろしのソバを年越しに食べる習慣があり、ソバ屋は、ソバと辛味大根を届け、食べる直前に各自で辛味大根をおろして、ソバにのせて食べるのが習わしだったそうです。  
 ところが、ソバの薬味として使いみちが限られていたことで辛味大根の栽培は広まらず、また、戦時中のソバ粉の統制によって、京都市内からソバ屋が激減し、栽培も減ってしまいました。
 現在では、二軒しか栽培農家がないのだそうです。

   (野菜果物大百科第56号より)
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